MacOSによるサーバ構築〜コストについて〜

”よーく考えよう〜,お金は大事だよ〜”と某CMでも言っているように,どのような分野の問題であっても,実現したいことのメリットとコストのバランスは企業や個人に関わらず重要です。
 ここでは,サーバ各論に行く前にインターネットで情報を発信するためのコストについてまとまてみました。


インターネットに関する各種のサービスは,内容にしろ費用にしろ数ヶ月単位で状況が刻々と変化していますので,あくまでも現時点(2004.4)での話になります。

独自サーバを立ち上げる場合との比較対象として,ホスティング(いわゆるレンタルサーバ)の費用を調べてみました。無料のものから,24時間365日責任を持って管理してくれるものまで様々ですが,独自ドメイン,HP容量100MB程度,メールアドレス10〜30程度のエントリークラスのサービスでドメイン管理を含めて大体月4,000〜5,000円といった料金が一般的のようです。

個人の趣味であればどれほど高価であっても労力を要しても構わないのですが,企業であればサーバ管理は片手間であっても人的,物的資源の消費ですので,とにかく手間を掛けずに独自ドメインでWebサイトを公開したいのであれば企業の大小に関わらずホスティングは現実的な選択肢となります。


一般的な企業などが独自にサーバを立ち上げる場合を考えます。

IPアドレス枯渇の問題で,最近ではクラスC(256個)のグローバルIPアドレスを貰うことが難しくなったことから,8ないし16個(クラスC未満)のアドレスを割り当ててもらい,独自ドメインを取得し,自社側でDNS,Web,Mailなどの各サービスを行ってサイト公開を行うケースが一般的であると思います。
 プロバイダーや回線の種類によって料金は変わりますが,8アドレスを取得するのにADSLで大体月12,000円,FTTHで月18,000円程度必要となります。また,独自ドメインの管理にはcomなどのgTLDドメインで年間4,000円,汎用JPドメインで年間8,000円,co.jpなどの属性・地域型JPドメインで年間12,000円程度必要となります。従って,FTTH回線でco.jpドメインを使ってサーバを運営するには接続+ドメイン管理費用として大体月20,000円が必要となり,この他にも回線費用,自社サーバのための機材と維持管理コストが発生します。

ほんの数年前まで128kbpsのINS回線の常時接続サービスで月32,000円という値段であったことを考えると,100MbpsのFTTHでドメイン管理込みで月20,000円というのは,約1,000倍近い速度差(両者ともベストエフォートですが)を考えると信じられないくらいの低価格化です。ちなみにさらにその数年昔は,常時接続できるというだけで月数十万円の費用が必要であり,この時代はコストの大きな部分をハードウェアと回線費用が占めていました。

しかし,ここ数年のハードウェアと回線費用の劇的な低価格下によって,現在ではコストの大部分は維持管理の人件費が占めるようになっています。特に独自にサーバを立てているにも関わらずその維持管理を外部に委託している場合には,より顕著となっている場合が多いはずです.
 独自サーバかホスティングかは外部からは分からないので,独自ドメイン名によるメールアドレス,リクルート対策,サイト公開によるイメージアップなどは独自サーバが必要な理由とはなりません。その一方でDNSやメールサーバは自分の物であっても”公共性”が高いサービスであるため,きちんと管理できていないと回りにも迷惑を掛けることになってしまいます。
 貴方の会社では,何のために”独自サーバ”でサイト公開しておられるのでしょうか?,その目的や必要性をきちんと説明できますか?。
 この問いに対して明確な理由を説明できないのであれば,おそらく独自サーバの必要性はあまり高くないと思います。


次にSOHOや個人がはっきりと目的を持った上で積極的に独自サーバを立ち上げたい場合です。
安くなったとはいえ,月20,000円はSOHOや個人にとってはまだまだ大きな負担です。でも”own your risk”の精神があれば,さらに安価に独自サーバを立ち上げることができます。

これは,独自ドメインと固定IPアドレス(1アドレス)を取得して,DNS代行サービスを利用する方法です。
 ADSLやFTTHなどの常時接続回線では月500円程度のオプションで1つの固定IPアドレスを取得することができますし,固定しなくても繋ぎ続けている限りはアドレスは変わりません。

IPアドレスを固定するかしないかで違ってきますが,DNS代行またはダイナミックDNSのサービスをレジストラーなどに申し込みます。サービスの種類にもよりますが大体月500〜1,000円位の料金で,ドメイン管理費と併せても月2,000円以下となります。
 ただしレジストラーやプロバイダーによって,提供しているサービスの内容に違いがあるので注意が必要です。例えば独自にMailサーバも立てたいのであればDNSにMXレコードが必要となります。最近は大手のプロバイダーでもダイナミックDNSサービスを提供しているところが増えてきましたが大抵Webサーバのみか,Web+Ftpサーバまでというところが多いので,サービス内容を事前に確認する必要があります。

そして,最後にルーターのポートフォワード機能(仮想サーバ機能という表現もあります)を使って,提供するサービスごとに必要なポートを空けてLAN内のサーバに送るよう設定します。

以上の方法により格安の費用で独自ドメインを使ってWeb,Ftp,Mailなどのサーバを自由に立ち上げることが可能となります。プライマリーDNSを自分側に置けばさらに安く抑えることができる場合もあります。当然物理的な容量やCGIなどについて一切制限はないので,自分の好きなようにサーバ構築および運営が可能です。

この方法であれば,設定や維持管理を趣味として楽しめる人であれば,ホスティングよりもさらに安く独自サーバを立ち上げることができます。ただし基本的に”無保証”なので,トラブルがあっても一切の責任は自分にあり,誰も面倒みてはくれないので,自己責任で問題解決できない人にはお勧めできません。また,同様の理由から企業での利用もお勧めできません。


無料から月数万,数十万円まで,サイト公開を含めてインターネットを利用して情報を発信,交換するための費用は,その内容に応じて非常に大きな幅があります。高いサービスも,安いサービスもそれなりの理由があり,どれを選択するかは利用する側の判断に委ねられます。
 みなさんの会社などでも,独自にサーバを構築して情報を外部に発信しておられるのであれば,その目的,意味とコストについて,少し考えてみてはいかがでしょうか。昔と違って,インターネットサーバを立てたり,サイト公開すること自体が宣伝となる時代ではないはずです。

サイト管理者としての私の判断ではありますが,当社のサイトはホスティングを利用して運営しています。理由は,訪れた人に見てもらいたいのは中身であって器ではないことと,サーバ管理が私の本業ではないからです。
(個人のサイトは上の方法で自前サーバを立てて遊んでいます。但しこれは趣味だからこそできること。)

次回こそは,サーバ各論に移る予定です。(今回はタイトルに関わらずMacが全く登場しませんでした.反省..)