低盛土の交通荷重

現在,軟弱地盤上でいわゆる低盛土による道路を造成する場合には,盛土高さに応じた”交通相当荷重”を見込んで沈下量や対策工法の検討を行うことが一般になっています。

この交通相当荷重の基となった論文は,「軟弱地盤上の低盛土道路の沈下とその対策」(久楽勝行,三木博史,真下陽一,関 一雄)であり,土木技術資料22-8(1980)に掲載されています。

この論文は全国の5個所のバイパスでの調査結果が基になっており,先の交通相当荷重は,この5箇所のバイパスでの実測沈下量にフィッテングさせるように描いた,以下の考え方に基づく理論曲線です。
路面上に20tfトラックを1m間隔で2台平行に並べたときの輪荷重が,深さ方向に45°で分散すると仮定して,盛土下面(=軟弱地盤表面)に伝わる応力を計算により求めたもの。但し,路面の段差1cmに相当する衝撃係数として0.5を考慮しています。

上記論文中の図-7と,「道路土工 軟弱地盤対策工指針(昭和61年11月)」の78頁の図を対比してみました。上の図が論文のもので,下の図が道路土工のものです。

交通相当荷重_基論文
 
  交通相当荷重_道路土工

以上の内容から,交通相当荷重は,盛土厚さの他にも路面の平坦性や大型車の混入率,あるいは舗装構成などによって変化するものと思われます。また,その基本的な考え方から判断すると,分散角を考慮して基礎地盤を置換えまたは地盤改良してやれば,その分を盛土厚さと見なして交通荷重を低減させても良いのではないかと思われます。

上記の基本的な考え方を基に,個別の現場状況に応じて検討を行うことで,より合理的な設計が可能ではないかと考えています。

出典及び関連文献
 久楽勝行,三木博史,真下陽一,関 一雄:「軟弱地盤上の低盛土道路の沈下とその対策」土木技術資料22-8(1980)
 「道路土工 軟弱地盤対策工指針(昭和61年11月)」社団法人日本道路協会